メーター内の冷却水の水温計が上がらない……
もしくは青色(緑)警告灯がなかなか消えない…
そんな時に可能性が高い不具合部品をご説明いたします。
目次
水温が上がらない時は「サーモスタット」が悪い可能性が高い
エンジン温度を適正に保つためにエンジンを冷やすための水「冷却水」が循環しています。
この冷却水を「水温センサー」で検出し、水温に異常があった場合でも運転者にすぐにわかるようにメーター内に「水温計」として表示しています。
水温が上がらない、またはなかなか上がらない時の不具合としては
- サーモスタット異常
- 水温センサー異常
- メーター表示異常
くらいしかなく、水温が上がらない不具合で断トツで多くほぼ間違いないのは『1、サーモスタット異常』
僕自身これまで水温が上がらない不具合でサーモスタット異常以外ほとんど見たことがないくらいサーモスタットの不具合が多いです。
冷間時の冷却水の流れ
エンジンを冷却している冷却水ですが、エンジン温度が低い場合はエンジンを暖めるため冷却水はエンジン内部を循環しています。言わいる暖気と言われる状態。
暖気後の冷却水の流れ
暖気が終わり水温が高くなると走行風やファンで冷えたラジエターに冷却水を送りこみ冷やした冷却水をエンジンに循環させエンジンなどを冷却します。
このラジエターに冷却水を送る作動を機械的作動で自動に開閉し冷却水通路を切り替えている重要な部品が「サーモスタット」
例えば、水温85℃で開弁するサーモスタットだと
- 冷却水温85℃以上になると自動開弁しラジエター側に水路を変え冷却水を冷却
- 水温85℃以下になると閉弁し冷却水がエンジン内を循環することで徐々に水温が上がる
- 再度85°を超えると……
の繰り返しを行ない一定範囲の適正温度に保つっています。
サーモスタット開きっぱなしの冷却水の流れ
サーモスタットが開きっぱなしになるとエンジンかけ始めの冷間時でもラジエターに冷却水を送ってしまうため、冷却水が暖まることなく冷え続け暖気が終わらず水温が上がらない原因になります。
またサーモスタット異常時は水温が上がらないだけではなく他の体感できる症状があるので、下記の症状を参考に当てはまる場合はサーモスタットの不具合と言えるでしょう。
ちなみに逆に閉まりっぱなしは「オーバーヒート」の原因になります。
サーモスタット開きっぱなし時の症状
- 水温計がなかなか上がらない。または警告灯がなかなか消えない
- 暖房が出るまで時間がかかる
- 暖房の効きが悪い
サーモスタットが画像左側のように常時開きっぱなしになった時の症状を説明します。
1、水温計がなかなか上がらない。または警告灯がなかなか消えない
目に見えて分かりやすいのは「水温計がなかなか上がらない」「水温警告灯がなかなか消えない」こと。
通常数時間置いてエンジンを始動させた時は水温は低い状態なので水温は冷たい状態、つまりクール(青色警告灯)をしめしています。
しかしサーモスタットが開きっぱなしの場合は数十キロ程度走行しても暖気が終わらない「オーバークール」と言われる状態が続き水温計がなかなか上がらない、または警告灯がなかなか消えない状態になります。
もちろん冬場など気温が低い日はいつもより警告灯や水温計が上がりにくので見極めは必要ですが、オーバークールならあからさまに暖気までが遅いためわかると思います。
メーター内の水温を表す表示には「水温計」と「水温警告灯」の2種類あります。
メーター内にクールからホットまでをゲージで表しているのが「水温計」。
高級車やスポーツカーもしくは昔の車は水温計表示された車が多い。
メーター内に警告灯のみが表示されるのが「水温警告灯」。
水温警告灯の冷間時は「青色点灯」、暖気が完了すると「消灯」、水温が高く異常時は「赤色点灯」の3パターンで運転者に知らせてくれます。最近の車に多く搭載されています。
通常、青色点灯は異常ではないが点灯時間が極端に長い場合はオーバークールと言われるエンジンが冷えすぎている異常な状態。
2、暖房が出るまで時間がかかる
車の暖房は冷却水の熱を利用しているので、水温が上がるまでに時間がかかる=暖房が出る正常時より長くなります。
冬場の寒い時期だと正常でも時間がかかりますが、サーモスタット開きっぱなしの異常な場合は更に時間かかりずっと出ないんじゃないかと思うほど時間がかかります。
3、暖房の効きが悪い
先程と同様に車の暖房は冷却水ですが肝心の冷却水がラジエターにより常時冷却水されているので冷却水温度が上がりきらず、暖房性能低下。つまり暖房の効きが悪くなります。
サーモスタットの開きっぱなし量で症状の酷さが変わりますが、この3つの内2つ当てはまるのなら、ほぼサーモスタットスタットの開きっぱなしによるオーバークールの不具合で間違いないでしょう。
オーバークール状態で放置するとどうなる?
- 冷間時は燃料噴射量が通常より多く燃費の悪化
- 燃料が多いので燃え残りなどが多くなりエンジン内部の汚れが蓄積
- ピストンリングの隙間が大きくブローバイの増大
オーバークール状態とはエンジンが冷えている状態が長いことなので、冷間時は燃料噴射量を通常より多く燃費の悪化に繋がります。
燃費が悪くなるだけならまだしも、燃え残りが原因でエンジン内部にカーボンが堆積したり、エンジンが温まることでピストンリングが膨張しクリアランスが適正に保たれますが、冷間状態では隙間が大きく燃焼室内のガス抜けが発生しブローバイガスが多くなりエンジン内部の汚れが蓄積します。
オーバークール状態で暖房以外でエンジン不調などすぐに感じる不調がない為放置する人も中にはいますが、この状態が長期間続くことで内部に蓄積した汚れがエンジン不調やオイル消費の原因になるのでオーバークール状態を放置することは少なからずエンジンにダメージ与えてしまう可能性があるので早めに修理が必要と言えます。
ただし冷却水温が高くなるオーバーヒートより緊急性はないですが、すぐに修理することができない場合はラジエターの前部に段ボール張り付けラジエターを冷やす風を遮断し強制的に冷却水を温める応急処置ができます。
交換費用は?
サーモスタット本体+冷却水で数千円程度なので部品代自体は大した金額ではありません。
しかし工賃はエンジンごとに付いている場所が異なるので一概に言えませんが大体1〜1.5万円程度と部品交換後のエア抜きなどにも時間がかかるので少々お高め。
部品代+工賃のトータル費用としては『1〜2万円』くらいです。
ちなみ自身でサーモスタットの交換はできなくはないですが、廃冷却水の適切な処理が必要なので処理が面倒くさいだけではなく、水路に入った空気を取り除く「エア抜き」をしっかり行なわないとオーバーヒートの原因になり取り替え返しのつかない故障に繋がるのでおすすめはしません。
まとめ、感想
サーモスタットは小さい部品ではありますが冷却系統にはなくてはならい重要部品。
壊れた方次第でオーバーヒートにもオーバークールにもなるなります。
警告灯が消えないや水温計が上がらないオーバークールの状態で暖房の効きが悪いようであれば、ほぼサーモスタットの開きっぱなしの不具合の可能性が高く交換が必要になります。
しかしオーバークールで長期間放置するとエンジン内部に汚れが蓄積しエンジン不調に繋がる可能性があるので早めに修理することをおすすめします。
それではまた〜!!